
振り返ると早いもので、ホームページ(HP)作成、ランディングページ(LP)作成を含めて、WEB業界に15年ほどいます。その内の約半分は制作関係、残りの半分近くは広告関係になります。制作系でも、高単価のHP作成や、格安のHP作成、リース販売でのHP作成など、様々なパターンのホームページを提案し、販売してきました。
WEB業界にも新しいCMS(自分で簡単にHPを作成、更新できるシステム)がどんどん出てきて、ホームページの作成単価も下がってきました。昔はサービス提供者(HPを作れる人)が少なかったこともあって、10〜20Pのホームページでも100万円台での販売もあったぐらいです。しかし、ネットで検索すると現代は、激安の5万円で作成!、7万円で短納期!などのホームページ制作会社も増えました。また自分で作る人のために格安のCMSやテンプレートの販売は月額数千円〜、売切りでも2万円とかでもあります。
高いホームページと安いホームページの違いは何なのか?
これは目的により、どちらを選んだほうが良いのかで変わってきます。「高くても効果が無い」「安くても効果が良い」と言う側面は確かにありますが、その矛盾する点は一旦置いておき、業界人としての常識的な見方で書きたいと思います。
ちなみに今回の記事は「集客を行なうためのホームページ作成」の話であり、会社概要のサイト、パンフレット代わりにとりあえず作っておきたいサイトの場合は別の話ですので該当しません。またブランディング目的のホームページ作成も今回の記事には該当しません。あくまでも「集客」を考えたホームページ作成の話です。
集客の出来る良いホームページを作りたい通常の場合
ディレクターによる企画、経験豊富なデザイナーやコーダーによる作成業務、コピーライターによるライティング、カメラマンによる写真撮影、SEOに強い構成、広告運用者によるテスト、担当者によるアクセス解析など、集客に関わる人も多く、HPやLPを納品するまでの時間も掛かります。
優秀なデザイナー1人でも、制作期間が3日とかで、反応の取れるホームページを作れるものではありません。ホームページを使った集客は必須な時代ですが、クライアントの競合もWEB集客を行っているでしょうから、なかなか簡単ではありません。時間もそれなりに使い、深く考えながらホームページを作らなくてはいけないのです。
時間が掛かり、経験者を使うということは、ホームページの原価でもある人件費がそれなりに掛かるということです。1ヶ月納期のホームページ作成でも、1人当たりの給料30万円人間を2人使って作成する場合、原価は60万円です。そこに利益を乗せないとビジネスとしては成り立ちません。
※もちろん1ヶ月で受け持つクライアントは1社ではありませんが、労働集客型ビジネスですので、複数のクライアントを同時進行で受け持つことにも限界があります。
5万円や10万円で作りたい場合は、ライティング、写真などの素材をご自身で全部出して頂き、テンプレートを使い、且つ集客に関して責任を持たない旨を理解してくれれば、安い金額での作成も可能ですが、そんなクライアントは中々いません。
なので、集客をする場合は、実績のある会社に頼むとそれなりの金額が掛かってしまうのが、集客の出来る良いホームページ作成なのです。
格安ホームページ作成の秘密(制作面)
格安で受け持つということは、薄利多売ということです。たくさん売らなければ利益は出ません。5万円のホームページ作成の場合、デザイナーの日給が仮に1万円だとすれば、1〜2日で納品しないといけない訳です。
こういったホームページ作成会社の場合は決まったテンプレートに文字や画像を当て込むだけで納品します。もちろん集客面の事なんか考える余裕は無く、ただ当てはめる作業になります。また画像などは通常、クライアントに用意して頂く必要があります。
格安ホームページ作成の秘密(簡単なSEO対策?)
格安のホームページ作成会社の中には「SEO対策も万全」と公言している会社もありますが、大体が謳っているだけの会社です。勿論、SEO対策の定義にもよりますが、ページタイトルとmetaタグ、ディスクリプションの設定を行っているだけ(一般的には行なうこと)で、SEO対策と謳っています。
2019年現在のSEO対策とは、HPの構成、コーディング、ユーザーの求める良質なコンテンツの作成×数、外部要因など多岐に渡ります。それが数千円や数万円で簡単に行えるものでは無いことを申し伝えておきます。
どうしても安くホームページ作成を行いたい場合
企画・構成・ライティング・素材を全て制作会社に提供し、デザインとコーディングのみを依頼すれば安く仕上げられます。デザイン料やコーディング料は、そのデザイナーのキャリアや実績で左右されますが、それでもフルで作成するよりは安く抑えられます。
成果に対する責任や具体的な指示・アドバイスは求められませんが、ご自身で勉強した方の場合は、このような形であれば安く抑えられるでしょう。
※ただし良いデザインをする、意図のあるデザインが出来る優秀なデザイナーは引き合いが多いために需給バランスの原理で価格は上がる傾向にあるものです。
良いホームページを(結果的に)安く作り、集客したいなら選択肢は2つ
①実績のある制作会社や広告代理店にそれなりの金額を払って任せる! ・・・ プロにそれなりの金額を払った方が、結果としては安く済みます。前提として、依頼する会社は集客の実績がある事。パフォーマンスでいくら制作実績をアピールしていても、集客はグダグダの会社もあります。制作実績も大事ですが、集客実績のあるホームページを作っている会社に頼みましょう。
②自分で勉強して、デザインやコーディングのみを依頼する! ・・・ 前述しましたが、この場合であれば、制作会社の選択肢も増えますし、デザイナーさんも多少金額が安くても納得出来ます。そして自分の企画・構成・ライティングですので、責任は自分自身に多分にあるので、納得感もあるでしょう。こうやって安く済ませる場合は、打合せなどは自ら制作会社さんに足を運んで、少しでも工数の負担を下げてあげましょう。
良いホームページを(結果的に)安く作って、集客したいなら選択肢はこの2つしかありません。①の場合は、とりあえず費用は出ていきますが、失敗確率の高いHPを何度か作るよりは安上がりで、成果までの時間も早く、結果として考えると安く済むでしょう。②の場合は、学ぶ時間や費用、自分で考えたりするなど、負担はありますが、ホームページ作成自体は安く済ませられます。
クライアントが利益を求める企業である以上、「少しでも安く集客したい」のは我々広告代理店や制作会社も理解しています。
しかし、広告代理店も制作会社もビジネスです。(結果として)安く済ませられますし、(結果として)集客が成功する可能性は高いのですが、クライアント様にも、結果として安く済ませるために「費用」か「労力」のどちらかのご負担をお願いしたいのが本音なのです。「費用」も「労力」も出さずに集客を行なうことは中々難しい時代です。
WinWin or NoDeal(お互いの関係がプラスで無いなら、取引しない)がBtoBビジネスの原則です。次回の念を込めて、気をつけたいものです。