
マーケティングにおいては、「いかにして自社が意図している方向に顧客(ペルソナ)を動かすか、動かせるか」が鍵を握ります。そのためには、顧客視点(消費者視点)を軸に、「顧客が何を求めているのか?」を追求し、商品・サービスの開発や構築に繋げることは大前提の要素となります。
ただ、いくら顧客ニーズを満たす商品・サービスを開発したとしても、「実際に顧客を行動させる」「一歩踏み出してもらう」ことができなければ購買には繋がりません。そのためには、顧客の背中を「そっと押してあげる要素」が必要となります。
その要素とは何か?
それが、「オファー」と「デッドライン」となります。今回は、この2つの要素を整理していきたいと思います。
1.オファーとは何か?
DBM用語辞典では、下記のように定義されています。
条件販売提案のこと。一般的には提供、申し出、提案の意味。マーケティングでは、販売者が購入者に購入に関して条件を提案することをオファーといっている。購入者は、条件を受け入れるか受け入れないかは定する必要はない。売り手によって作られる契約上の同意条項のことで、買い手による受領は未決定であるものをいう。(中略)ある条件で購入したら、何かを提供するというマーケティング行為はオファー(提案)になる。
DBM用語辞典
つまり、オファーとは、顧客(ペルソナ)に対して、「買ってくれたらこうしますよ」と提案することを指します。これは、「購買」の側面だけではなく、「集客」や「リスト構築」の側面においても全く同じです。(顧客の何かしらの行動や動きに対して、「その行動をしてくれたら〇〇を提供します」ということ)
このオファーを効果的に使えるか否かで、集客の結果にも大きな影響を及ぼします。
2.オファーの種類について
上記でオファーの定義は確認しました。次はオファーの種類です。オファーには大きく2種類ありますので、これもぜひ覚えておいてください。(OGSでは、下記の呼称で区分しています)
①ディスカウント
ディスカウントとは、その名の通り、基準となる販売条件(定価や標準価格など)から何かしらの割引や値引をすることを意味します。
(例)
- 期間限定◯◯%OFF
- 標準価格より◯◯円引き など
②プレミアム
プレミアムとは、ディスカウントとは逆で、基準の販売条件から、何かしらのオプションを付加することを意味します。
(例)
- ◯◯プレゼントします
- ポイント◯倍キャンペーン など
私たちは日頃の生活の中で、至るところに存在している「オファー」を何気なく認識し、自然と消費行動をしていますが、それは、売り手側の意図したマーケティングにまんまとハマっていることを意味します。
また、ほぼほぼ購入意思が固まっているけど、最後の決断ができずに足踏みしている際に、店員さんから「今決断していただければ10%OFFさせていただきます」などの提案(オファー)があると、「じゃあ買います!」となったりもしますよね。これが、「顧客を実際に行動させる(顧客の背中をそっと押す)要素の一つ、オファーの効果です。
では次に、もう一つの要素である、「デッドライン」についても整理していきましょう。
3.デッドラインとは何か?
大辞林では、下記のように定義されています。
侵してはならない限界。死線。
最終期限。締め切り。
大辞林
つまり、デッドラインとは、顧客(ペルソナ)に対して、ある販売条件の「期限」を明確に示すことを指します。上記で整理した「オファー」にこの「デッドライン」を組み合わせることでより効果的に顧客を動かすことができます。
4.デッドラインの種類について
オファー同様、デッドラインにも種類がありますので、ぜひ覚えておいてください。
①期限のデッドライン
期限のデッドラインは、例えば、「5日間限定」や「◯時までのタイムセール」といったように、日数や時間などで区切るデッドラインのことです。
この場合、日数が経過したり、期限が到来した場合は、在庫が余っていても販売を止めないといけません。商品ではなく、サービス販売の場合は在庫を抱えるということはありませんが、商品を販売している場合には在庫を売り切る前に期限が到来したら販売は終了ですので、特に商品を販売している場合には慎重に期限を決める必要があります。
②数量のデッドライン
数量のデッドラインは、例えば「◯個限定」といったように、数量で区切るデッドラインのことです。
この場合は、当然ですが設定した数量を売り切った瞬間に販売終了とになりますので、期限のデッドラインと違ってフロントエンドやバックエンドが「商品」であっても、在庫を抱えるというリスクは少なくなります。もちろん、100個の商品を事前に作製し、50個しか販売できないというリスクもありますが、受注生産に切り替えれば、原価は上がる可能性はありますが、在庫リスクは排除することができます。
5.オファーとデッドラインの相乗効果で集客に活かす!
人間は、「期限」が設定されると、「期限内に行動しなければ」という心理が働きます。また、人間は得をするよりも損をしたくないという「損失回避性(※)」という心理も持ち合わせますので、「特典(オファー)」を受けれる期限が設定されている場合は、より一層、その期限内に行動しようとします。
損失回避性とは
損失回避性とは、利益から得られる満足より同額の損失から得られる苦痛の方が大きいことから、損失を利益より大きく評価する人間心理のことをいう。
コトバンク:ブランド用語集
つまり、オファーとデッドラインを組み合わせることで、顧客(ペルソナ)に、「買う理由」や「行動することの正当性」を明確に認識させることができます。また、人間は希少性を好む生き物でもありますので、特典(オファー)や期限(デッドライン)を設定することで、「手に入れらない可能性」も創り出すことができます。
上記のように、顧客心理(損失回避性や希少性)に則ったマーケティングを実行することで、顧客を動かすことができ、結果としてリスト構築や集客、さらには購買へと繋げる可能性を高めることができます。
まとめ
今回は、「オファー」と「デッドライン」についての整理でしたが、いかがでしたでしょうか?わかっているつもりでも、体系立てて整理してみると実際にはまだまだ実践できていない部分や、実践しててももっと精度や確度を向上できる部分もあると思います。実際に、集客をする場面でも、この2つの要素を効果的に活用しているか否かで結果は大きく変化します。
エックスラボが開催しているOGS講座では、実事例やケーススタディ、具体的方法も扱いながら、このようなマーケティングの概念や集客のポイントを、もう一段掘り下げた内容として、シンプルに体系立ててお伝えしています。
マーケティングを実事業で実践するためには、まずは「正しく知る(理解する)」ことが重要です。ぜひ、上記のポイントを再度整理していただき、実行・実践してみてください!