人はなぜ「変化」を嫌うのか?顧客心理で考える。
Innovation adoption lifecycle concept. Businessman think about diffusion of innovations and utilization for its business.

1.変化を嫌う人?好む人?

「なんだかんだ悩んだ挙げ句、いつもと同じ定番メニューを頼んでしまう」

定食屋さんでのランチや、仕事帰りの居酒屋さんなどで、こういう経験はないでしょうか?

私たちは日常生活において、様々な場面で選択と決断を行っています。しかし、人それぞれ「選択」の仕方は異なります。例えば、上記のように、飲食店などで毎回同じメニューや自分の定番がいくつかある中から注文する人もいれば、一方で毎回毎回違うメニューを注文する人もいます。この差はいったい何が原因なのでしょうか?

人間も含め、動物は基本的に変化を嫌います。つまり、コンフォートゾーンを好みます。それは種の保存の観点からも脳内にプログラムされていますし、プロスペクト理論における「損失回避性」という観点でも研究調査されています。

損失回避性とは、「人は利益から得る満足度より同額の損失から得る苦痛の方が大きいと判断する」という心理作用であり、現状を変えることによって「何かを失うかもしれない」という不安が「何かを得られるかもしれない」という期待よりも上回るために、変化を避ける、つまり、現状を維持する動きを誘発します。行動経済学ではこの心理作用を「現状維持バイアス」と定義しています。

現状維持バイアスとは?

大きな状況変化ではない限り、現状維持を望むバイアス。未知なもの、未体験のものを受け入れず、現状は現状のままでいたいとする心理作用のこと。

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この「現状維持バイアス」は、まさに先述した飲食店でのメニュー選びでも存在しており、購買心理においても全く同じ心理作用が働きます。だからこそ、なんだかんだ悩んだあげく、結局いつものメニューを注文してしまう、ということが起こります。

ただ、人によっては、変化を好む人もいますし、毎回違うメニューを注文する人もいますし、流行や新しいモノを先取りする人がいるのも事実。今回は、購買の側面における心理作用を、様々な観点で考えていきたいと思います。

2.購買心理とイノベーター理論を重ねて考える(キャズムの正体は、現状維持バイアス?!)

イノベーター理論とは、1962年に、スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャーズ教授が提唱した理論であり、「新商品やサービスなどの市場普及(つまり顧客心理)に関する理論」となります。これは、新商品購入の早い順から「イノベーター(革新者)」、「アーリーアダプター(初期採用者)」、「アーリーマジョリティ(前期追随者)」、「レイトマジョリティ(後期追随者)」、「ラガード(遅滞者)」の5つに分類しており、統計学の正規分布を応用してそれぞれの割合を定義しています。(下図参照)

この理論からわかるように、人によって、またはその時の状況や環境によって、そしてその商品によっても、購買心理はグラデーションがあるということになります。イノベーターやアーリーアダプターは、流行に敏感であり、新商品や最新技術といった「新しさ」に対して価値を見出します。つまり、変化を好む層となります。
一方、アーリーマジョリティ以降の3つの顧客層は、周囲の人たちが多く利用し始めると、そのサービスを使わないことが逆に不安になり、遅れて利用する特徴を持ちます。つまり、変化を嫌う層とも言えます。

上記より、イノベーターとアーリーアダプターの割合を足した16%の顧客層をいかに早期獲得できるかが、商品が市場で普及するか否かの境界になると、ロジャーズ教授は指摘しており、これを「普及率16%の論理」とも言われています。

しかしながら、この早期16%の顧客層と残り84%の顧客層の間には深い溝(キャズム)があり、早期16%を獲得したからといって簡単に市場普及はしていかないとも言われています(キャズム理論)。

では、何がこの深い溝を作っているのでしょうか?

一般的には、早期16%の顧客層が求める価値は先述の通り「新しさ」であり、残り84%が求める価値は「安心」である、と言われます。つまり、それぞれの顧客層が求める価値が異なるために、このキャズムが発生している、ということになります。そしてこの「安心感」の根底にある心理こそが、「現状維持バイアス」なのではないでしょうか。

3.現状維持バイアスを外して「キャズム」を超える

上記で見てきたとおり、人間は誰しも「現状維持バイアス」を持ち合わせています。つまり、マーケティングだったり、ビジネスだったりを今以上に加速させようと思ったときに、いかに顧客の「現状維持バイアス」を外せるか、がキーになってきます。では、どのように「現状維持バイアス」を外せば良いのか?を最後にまとめていきたいと思います。

行動経済学において、「現状維持バイアス」の外し方は下記の3つと言われています。

  • 定量的に分析する
  • アドバイスを仰ぐ
  • 最悪のケースを想定する

これを、マーケティングに応用する場合、どのような概念になるかを整理していきます。

定量的に分析する

これは、客観的な事実と向き合うことで、主観的な判断(コンフォートゾーンに居続けること)を防ぎ、現状維持バイアスを外す、という意味ですが、マーケティングに置き換えれば、その商品やサービスを購買・利用することで、定量的にどのような変化や価値を得られるのか明示することになります。

アドバイスを仰ぐ

これも、自分自身の主観や個人的な感情ではなく、第三者の客観的意見やアドバイスを得ることで、コンフォートゾーンから抜け出すという意味になります。つまり、マーケティングに置き換えれば、「お客様の声」=「早期16%顧客層の声」をまとめることになります。

最悪のケースを想定する

現状維持バイアスは、未知なる不安を避けようとする心理作用(損失回避)です。不安というものは、実態がわからないほど大きく感じますので、現状打破して新しいことに挑戦し、仮に失敗した場合に最悪どのような損失を被るのかを事前に想定することで、最悪のケース以上には悪くならないとわかれば決断がしやすくなる、という意味になります。
これをマーケティングに置き換えれば、費用対効果をしっかりと明示すること、つまり、「コスト(損失)は当然発生するけど◯ヶ月後にはペイする」などを明確に伝えることです。人間の「保有効果」を逆手にとった「効果が感じられない場合は全額返金します」なども効果があるかもしれません。

4.まとめ

今回は、顧客心理を「行動経済学(現状維持バイアス)」と「イノベーター理論」で考えてみました。人間が誰しも持ち合わせている心理作用をきちんと理解し、マーケティングに応用していけるかで、ビジネスの加速度が大きく変わってきます。ぜひ、見込顧客の現状維持バイアスをどうすれば外せるかを今一度整理・熟考いただき、対策を実行することで市場普及率を高めていきましょう!

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